糖尿病の方の死亡原因の1位は何だと思いますか?
それは、肝疾患といわれています。肝機能の異常を引き起こす原因は、免疫機能の異常、ウィルス感染など色々な原因がありますが、1番の原因は肝機能障害だといわれています。その中でも特に、脂肪肝です。
食事で糖質をとると、血液中のブドウ糖が増えて血糖値が上昇します。このときにすい臓がそれを感知すると、インスリンを分泌します。インスリンの作用とは、エネルギー源となるブドウ糖を、全身の細胞に送りこむ事なのですが、余ったブドウ糖は筋肉細胞や肝臓の細胞に送りこんで、グリコーゲンという物質に作りかえて蓄えています。
また、余ったブドウ糖は肝臓で中性脂肪に作りかえて蓄えられます。内臓の周辺に蓄えるのですが、これがメタボの原因といわれている内臓脂肪です。さらに余ったブドウ糖は、肝臓に脂肪として蓄えられます。これが脂肪肝です。
肝臓は体の中で、1番大きな臓器です。栄養分をさまざまな形に作りかえたり、有害物質を分解して処理するなど、500以上の働きをしているのです。さらに、栄養分を蓄えるという倉庫のような働きもしています。
どうして余分になったエネルギーを脂肪として蓄えているかというと、いざという時に備える大切な働きなのです。しかし、度を越えてしまうと大変な事になります。
肝臓の中に、脂肪が30%以上たまってしまうと、脂肪肝という病気と判断されます。脂肪肝は、糖質の取りすぎによって起こるのが原因で、他にはアルコールの飲みすぎでも発生します。
糖質の取りすぎによっておこるものを、非アルコール性脂肪肝といいますが、非アルコール脂肪肝のうち約1割が、非アルコール脂肪肝炎を起こします。そのうちの約3割が肝硬変と進行します。そこからさらに、肝がんを発生する可能性があります。
脂肪肝と高血糖の関係
脂肪肝は糖尿病の重要な原因になります。脂肪肝になってしまうと、内臓脂肪も増えて血液中に遊離脂肪酸が増加します。そうすると、糖代謝を妨げられてしまいます。
妨げられてしまうと、ブドウ糖を脂肪に作りかえる作業もとまってしまい、血液中のブドウ糖が増えて血糖が上昇します。
同時に、脂肪細胞から分泌されていたアディポネクチンという、インスリンの働きをよくしてくれる物質が減少してしまいます。それとは逆に、TNF-αというインスリンの働きを妨げる物質の分泌が高まります。
こうなると、インスリンの働きが悪くなるので、血糖値が高くなって糖尿病を引き起こしたり、悪化させてしまったりします。
メタボを防ぐためには、まず脂肪肝を予防する事が重要です。でも、急にダイエットをすると、ダイエットによる中性脂肪不足で、肝臓は脂肪を作って蓄えてしまい、脂肪肝になってしまう場合があります。
このような状態は、ダイエット脂肪肝や低栄養性脂肪肝と呼ばれています。急にダイエットをして急激に体重を落とそうとするのではなく、1ヶ月にたとえ1kgやせるだけでも、肝臓の脂肪は落とせると思っておきましょう。
1番重要な事は、脂肪肝に早く気づいて改善することです。肝臓は臓器の中で、とても重要な働きをします。なのでその能力に余裕があって、肝臓の7割以上が損傷されないと、自覚症状が出てこないのです。気づいた頃には、取り返しのつかないほど病気が進行している可能性があるので、沈黙の臓器と呼ばれています。
脂肪肝がきっかけに!?
脂肪肝を放置していると、そのあと肝炎を発症します。肝臓が炎症を起こしていると、右のみぞおち当たりに痛みを感じます。でもその痛みは、まだ鈍痛程度なので気づかない場合も多いのです。
とくに急性肝炎の場合、痛みが長引かないのでそのままわからず、放置されることがあります。そこから慢性肝炎へと進行してしまいます。
炎症が慢性化すると、肝機能が著しく低下します。そうなると、だるさを感じたり、発熱、吐き気、食欲の低下などさまざまな症状が出てきます。
慢性肝炎は、症状が風邪にとても似ているので、自分で肝臓病と判断することはとても難しいです。またいつもの風邪だと思って病院にはいかず、市販薬を飲んで治そうとしてしまう人も多いです。
しかし、肝機能が低下すると肌や白目の部分が黄色く黄疸化し、親指の指先や付け根が赤くなるなど、風邪とは異なる症状も現れます。
具合が悪いと感じたら、まずは肌や目の色などをチェックし、黄疸が出ているなどの症状が見られるようであれば速やかに病院を受診しましょう。