歯周病とは、歯槽膿漏といわれる歯ぐきの病気です。歯槽膿漏とは、歯肉から膿が出ている状態です。この歯周病は、糖尿病の合併症になったり、糖尿病を発病させる原因になったりします。
歯周病になったら、まず最初に歯肉のへりが赤くはれたり、歯磨きしたときに出血します。口に水を入れたときに歯や歯ぐきがしみる、歯ぐきがむずがゆい等、痛みはほとんどない症状です。この状態を歯肉炎といいます。
何もしないでほうっておくと、歯と歯ぐきの間のすき間に炎症がおこって、そのすき間は段々深くなっていきます。このようにしてできた溝を、歯周ポケットといいます。
糖尿病の原因である歯周病を予防しよう
歯周病の1番の原因はプラーク(歯石)です。歯にこびりついたアカの事です。プラークはただ単に食べかすではなく、歯周病菌の巣です。これらの細菌が虫歯を作ったり、歯周病を進行させます。しかし、それだけではなく、全身病に対しても色々と影響があります。
歯周病菌がおこした炎症から生じた炎症性サイトカイン(炎症を強め、機能障害や細胞・組織を崩壊させる)が、インスリンの働きを妨げて糖尿病に悪影響を及ぼします。血液中に入った歯周病菌が、血管に感染して炎症を起こすと、動脈硬化を進める原因にもなりますし、心筋梗塞を起こす原因となった血栓を調べると、歯周病菌が見つかり、心筋梗塞の原因になっているとも言われているのです。
歯周病や、糖尿病を予防するには、原因となるプラークを除去する事が必要です。これをプラーク・コントロールといいますが、それをするために大切なのが、歯みがき中のブラッシングです。あと、糸ようじや、歯間ブラシで歯の間にたまったプラークを取り除く事も大切です。歯みがきだけでは、全てのプラークを取り除く事はできないのです。歯間ブラシと併用すると、95%のプラークが取り除けると言われています。
正しい歯みがき方法を身につける事が重要になりますので、歯科医師を受診して、正しい指導を受ける事をオススメします。
歯周病の予防に役立つ事とは?
歯周病の原因であるプラークは、水以外を口にすれば必ず発生してしまいます。しかし、食べ物によってはプラークを取り除いてくれるものもあります。酢の物や梅干など、想像するだけで口の中に唾液がでてくるような食べ物ですが、これらの酸味の強い果物などは、間接性清掃食品といわれています。これらの食品を食べて、唾液がたっぷり分泌されると、食べかすがきれいに洗い流されるのです。唾液は殺菌作用のある成分が含まれているのです。
また、直接性清掃食品といわれるものがあって、それらは食物繊維が多く含まれたものをいいます。レタス・にんじん・ごぼうなどの生野菜が最適と言われています。これらの野菜をよく噛むことによって、歯や粘膜の表面が掃除され、唾液の分泌促進になります。
あと、カルシウムは歯や歯を支える歯槽骨も丈夫にしてくれます。カルシウムを多く含む食品としては、牛乳などの乳製品、海藻、魚介類です。乳製品の中でも、プレーンヨーグルトは糖分が入っていないので、口腔内の悪玉菌の増殖を抑えてくれますし、口臭予防にもなってくれます。
よく、牛乳は噛んで飲めといいますが、牛乳はアルカリ性食品なので噛むようにして口の中に行きわたらせると、食事で酸性になった口腔内を中性に近づけてくれます。
そうすると、歯を強くして守ってくれます。
そのほかに歯にいい飲み物は、緑茶です。緑茶に含まれるカテキンには、抗菌作用があるので、食後はお茶を飲むのが歯周病予防に役立ちます。
歯周病と糖尿病の関係性
糖尿病のために高血糖状態が続くと、全身の血管がもろくなってしまい、色々な合併症を引き起こします。血管障害は歯ぐきの毛細血管まで広がり、歯周病の炎症を悪化させてしまいます。さらに、糖尿病になると免疫力が低下して、歯周病菌の増殖を抑えられなくなります。それも歯周病を進める原因になります。
歯周病にかかっていると、炎症のある組織から生産される、炎症性サイトカイン(炎症を強め、機能障害や細胞・組織を崩壊させる)とよばれるものが血液中に入り込み、インスリンの働きを阻止するインスリン抵抗性が生じる事が解明されています。インスリン抵抗性の状態になると、すい臓がいくら頑張ってインスリンを分泌しても、血糖値が下がらないので、すい臓は疲れてしまって、とうとうインスリンが分泌されなくなってしまいます。
その結果、糖尿病も悪化して、それと同時に歯周病も進行していくのです。
しかし、
・歯周病をコントロールすれば糖尿病が改善する
・血糖のコントロールができれば歯周病も改善する
ということにつながります。